「タイで裁判をすることになったらどうなるの?」日本とは文化も法律も異なる国で、いざ裁判という場面になると、不安になる方も多いと思います。今回は、実際にタイで行われた民事裁判(金銭トラブル)の様子を、具体的な事例を交えてご紹介します。
この記事でわかること
- ✔ タイの民事裁判の実際の流れ(日本人実例)
- ✔ 勝訴しても回収できない場合の「強制執行」とは
- ✔ タイで金銭トラブルを起こさないための証拠の残し方
- ✔ 弁護士に相談するベストなタイミング
はじめに|タイの民事裁判、日本人でも起こせるの?
結論からいえば、はい、可能です。タイに在住・滞在している日本人であっても、タイの裁判所に民事訴訟を提起することができます。弁護士に依頼することで、タイ語や手続きの問題もほぼ代行してもらえるため、思っているよりもハードルは低いです。
実例|田中さん(仮名)の民事裁判
経緯|100万バーツを超える貸付金
バンコクに駐在している40代の日本人男性・田中さん(仮名)は、カラオケ店で知り合ったタイ人女性のジョイさん(仮名)と親しくなり、「実家の修理費が足りない」などの相談を受けるうちに、複数回にわたってお金を貸し続けました。最終的な貸付総額は100万バーツを超え、返済の気配がないことから、田中さんは法律事務所に相談し、正式に民事裁判を起こすことを決断しました。
裁判当日に何が起きたか
裁判初日、田中さんはバンコクの裁判所へ出廷しましたが、被告のジョイさんは姿を見せませんでした。タイの民事裁判では、被告が出廷しなくても審理を進めることができるため、そのまま手続きが行われました。
借用書と振込記録という明確な証拠があったため、審理は淡々と進行。田中さんがしたことは、弁護士に書類を渡し、裁判官からの簡単な質問に答えるだけでした。訴状の作成から裁判手続きのほとんどは弁護士が代行してくれました。
結果はすんなり勝訴。ところが、問題はここからでした。
勝訴後の落とし穴|判決が出ても返ってこない
判決が出ても、ジョイさんは一向にお金を返してきませんでした。「裁判に勝てば終わり」ではないのがタイの実情です。
強制執行という手段
そこで弁護士が強制執行の手続きに入り、ジョイさんの銀行口座の差し押さえを申立てました。この手続きもすべて弁護士が対応し、田中さんの手間は最小限に抑えられました。
民事裁判の流れ(概要)
- 弁護士に相談・依頼
- 訴状の作成・裁判所への提出(弁護士が代行)
- 出廷・審理(証拠の提出・証言)
- 判決
- 強制執行(相手が支払わない場合)
この裁判が成功した2つの理由
① 借用書を作成していた
田中さんが貸し付けの際に借用書を作成していたことが、今回の裁判の決定的な証拠となりました。口約束だけではタイの裁判で立証することが非常に難しくなります。
タイで有効な借用書に必要な主な要素は以下のとおりです。
- 貸付日・返済期日の記載
- 貸付金額(バーツ表記)
- 貸主・借主の氏名と署名
- 証人2名の署名
② 振込記録という証拠があった
銀行振込でお金を渡していたため、金額・日付・相手の口座が明確に記録として残っていました。現金手渡しの場合は証拠が残りにくいため、金銭の貸し借りは必ず記録の残る方法で行うことを強くおすすめします。
タイで金銭トラブルにあった場合の対処法
証拠の残し方
- 金銭の受け渡しは必ず銀行振込で行う
- 借用書を必ず作成する(証人2名、署名あり)
- LINEやメッセージでの返済約束のスクリーンショットを保存する
- 貸付の経緯を日記・メモに記録しておく
弁護士に相談するベストなタイミング
返済が滞っていると感じた時点で、早めに弁護士へ相談することをおすすめします。内容証明の送付・交渉・裁判手続きまで、段階に応じた対応が可能です。「まだ裁判にするほどでは」と思っているうちに証拠が散逸したり、相手が財産を移したりするケースもあります。
まとめ|対応別の比較
| 対応 | タイミング | 主な効果 |
|---|---|---|
| 弁護士への相談 | 返済が滞ったら即座に | 証拠保全・方針決定 |
| 内容証明の送付 | 早期段階 | プレッシャーをかける・証拠作成 |
| 民事裁判 | 交渉が決裂した場合 | 判決による法的拘束力 |
| 強制執行 | 判決後も支払わない場合 | 口座差押え・財産回収 |
タイでのトラブルに直面したとき、「裁判なんて無理」とあきらめてしまう方も少なくないかもしれません。しかし、信頼できる弁護士と証拠さえあれば、日本人であっても法の力で自分の権利を守ることが可能です。
タイで金銭トラブルにお困りの方は、T&Tomorrow法律事務所へお気軽にご相談ください。
日本語で対応いたします。初回相談無料。
よくあるご質問(FAQ)
Q. 日本人がタイで民事裁判を起こすことはできますか?
はい、可能です。タイの裁判所への提訴は外国人でも行えます。弁護士に依頼することで、手続きの大部分を代行してもらえます。
Q. タイの民事裁判にかかる費用はどのくらいですか?
訴訟費用は請求金額や案件の複雑さによって異なります。詳細はご相談時にお見積りいたします。
Q. 勝訴しても相手がお金を払わない場合はどうなりますか?
強制執行の手続きを取ることができます。相手の銀行口座の差し押さえや財産の差押えが可能です。
Q. タイ語がわからなくても裁判できますか?
はい、問題ありません。弊所では法務専門の日本人コーディネーターが最初から最後まで日本語でサポートいたします。
監修:タイ国弁護士 Ms. Mallika Thepwong(タイ弁護士会所属)


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