タイの刑事裁判では『求刑』しない

タイの法律
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日本と異なるタイの裁判

タイの刑事裁判では、日本でよく見られる検察官が裁判官に対して「懲役〇年を求める」といった『求刑』の手続きが存在しません。

タイの刑事訴訟においては、検察官は起訴状に被告人の行為や適用される法律条文、法定刑の範囲を記載するだけであり、具体的に裁判所へ量刑を求める手続きが存在しません。裁判所は証拠を調査及び精査した結果と法律に基づいて独自に刑を決定する仕組みとなっています。

検察官は『求刑』を行わない

検察官が論告の中で被害の重大性や社会的影響、被告人の反省の有無などを強調することはありますが、これはあくまで事実や評価を述べるにとどまり、日本のような「懲役〇年を求刑する」という形ではありません。

日本と異なる裁判制度

こうした日本と異なる制度設計の背景には、裁判官の独立性を重視する伝統があり、刑の決定は裁判所の専権事項であるという意識が強いこと、起訴状で法定刑の範囲を明示すれば足りると考えられていること、さらには刑罰権が国王の権威を通じて裁判所に属するという歴史的経緯があります。したがって、検察官が具体的に刑を求めることは制度として予定されておらず、いわゆる『求刑手続き』自体が存在しません。

私人による刑事告訴でも『求刑』されない

さらにタイでは私人による刑事告訴、いわゆるプライベート・プロセキューションの制度もあり、被害者本人や代理人弁護士が直接裁判所に刑事告訴を行って訴訟を進めることができますが、この場合であっても『求刑』は行われません。あくまでも「刑法第○○条に違反します」と訴えるだけです。「何年の罪に当たります」というような訴状の書き方もしませんし、裁判中でも「重い処罰をうけるべきだ」という意見を述べることもありません。

法律条文の知識が重要

このような制度の違いは、日本人にとっては分かりにくく感じられることが多く、特に被害者として刑事手続きに関与する場合には、「どの程度の処罰が見込まれるのか」「裁判でどのような主張をすればよいのか」といった点で戸惑うことも少なくありません。そのため、タイで刑事手続きに関わる際には、まず事件の事実関係や証拠を整理し、どの法律条文が適用される可能性があるのかを事前に確認しておくことが重要になります。また、被害者として刑事告訴を検討する場合や、刑事事件の進行状況を把握したい場合には、タイの刑事手続きに精通した弁護士に相談することで、手続きの流れや見通しについて具体的な説明を受けることができ、今後の対応を適切に判断する助けになります。

まとめ

結局のところ、タイの刑事裁判では検察官であれ私人原告であれ、役割は犯罪事実を立証することにあり、量刑の判断は一貫して裁判所に専ら委ねられています。そのため、事件に関わる当事者にとっては、どのような事実や証拠を裁判所に示すことができるかが極めて重要となり、専門家の助言を受けながら適切に手続きを進めていくことが、結果として自らの権利を守ることにつながるといえるでしょう。

監修:タイ国弁護士 Ms.Mallika Thepwong

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